みなさん、こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。
今回は必見!血糖値を下げるヘモグロビンA1cを下げる最強の飲み物ランキング
を発表したいと思います。
糖尿病の食事療法について、根拠となる研究の紹介、
ランキングの発表のち、最後に実際どのように飲み物を選択したらいいか、
提案したいと思います。
■糖尿病の治療の目的
高血糖が慢性的に持続することで
糖尿病の合併症が発症し、進展します。
糖尿病の治療は合併症の発症および
進展阻止を目的としています。
また、糖尿病が寿命に影響を与えないように、すなわち、
糖尿病がある人も
糖尿病がない人も変わらない人生を送ってもらえるように
治療をするわけです。
■糖尿病治療
食事療法と運動療法と薬物療法の総和が
糖尿病治療を
成功に導いてくれると考えられます。
食事を少し見直したから、
血糖値が下がった。ヘモグロビンA1cが下がった。
運動を少し追加したから、
血糖値が下がった。ヘモグロビンA1cが下がった。
というのはよく聞く話で、
主治医としても嬉しくなります。
血糖値を速攻で下げたいという気持ちはよくわかりますが、
大切なのは、この血糖値やヘモグロビンA1cを
長期に目標の範囲内に納めるということになります。
■糖尿病の食事療法について
さまざまな食材をバランスや
順番に配慮してとるのが良いです。
エネルギー産生栄養素である炭水化物、
脂質、蛋白質をまんべんなくとるという事です。
順番に関しては
野菜、おかず、ごはんの順番、
野菜やタンパク質を先に食べて、最後に炭水化物
を食べるカーボラストにする
と言う意味です。
炭水化物とは消化吸収される糖質と
食物繊維にわけられます。
糖質は体を動かすエネルギー源になります。
炭水化物のうち、血糖値をあげるのは糖質だけです。
一方で食物繊維はエネルギー源になりませんし、血糖値もあげません。
炭水化物の中でもエネルギー源になるとお伝えした
糖質の量が多い事が
直接的に高血糖につながります。
砂糖入りのジュースなどで摂取すると、
血糖値スパイクになりますよね。
糖質が過剰なものを減らす。
糖質が過剰なものを安心なものに置き換える
糖質の吸収をゆっくりにする。
ことを目指せたらと思います。
血糖値を下げるヘモグロビンA1cを下げる
最強の飲み物というタイトルですが、
残念ながら、どれか飲んだら大丈夫
という意味ではありません。
■どんな飲み物が良いか
糖尿病の患者さんや糖尿病を予防したい方からは
血糖値を下げる飲み物はなんですか。
血糖値を抑える飲み物は何ですか。
と質問を受けることがあります。
日本糖尿病学会では明記されていませんが、元となる考え方は同じと思いますので、
アメリカ糖尿病協会ADAが定める大枠を説明致します。
糖尿病患者さんまたは糖尿病リスクのある患者さんに対し、
血糖値をコントロールし、心代謝疾患のリスクを軽減するために、
砂糖入り飲料(フルーツジュースを含む)の摂取を
水または低カロリー、カロリーゼロの飲料に
置き換えるよう助言する(ADAグレードB:弱い推奨)。
糖尿病患者さんまたは糖尿病リスクのある患者さんに対し、
より健康的で栄養価の高い食品を選択できなくなる、
糖分を添加した食品の摂取を最小限にするよう助言する
(ADAグレードA:強い推奨)。
どんな飲み物がよいかを考える上で
役立つ報告を更に2つご紹介致します。
1つ目は2023年にアメリカからだされた研究報告で
2つ目は2020年に日本の福岡の九州大学を中心とする
グループからだされた研究報告です。
1つ目のアメリカから出された報告:BMJ 2023;381:e073406
アメリカの保健専門家による長期追跡研究から
得られた結果を基にしたものです。
対象者は2型糖尿病の診断を受けた15,486人の男性と女性です。
彼らの飲み物の摂取は、食事頻度アンケートを用いて、
2〜4年ごとに更新されて評価されました。
その結果、糖分が加えられた飲み物(SSBs)を頻繁に摂取すると、
全死因死亡リスクが20%増加、
心血管疾患(CVD)の発症リスクが25%増加
することがわかりました。
一方で、コーヒー、紅茶、水、低脂肪乳の摂取を増やすと、
全死因死亡リスクが低下したそうです。
コーヒー26%、
紅茶21%、
無糖水23%、
低脂肪乳12%
全死因死亡リスクが減少しました。
特に、糖尿病の診断を受けてから
コーヒーや紅茶、低脂肪乳の摂取を増やすと、
全死因死亡リスクがさらに減少することが示されました。
しかし、ここで重要なのは、甘い飲み物が好きな人々に
とっての選択肢として、人工甘味料を使用した飲み物(ASBs)の存在です。
研究によれば、人工甘味料を使用した飲み物は
全死因死亡リスクに大きな影響を与えないとされています
(ハザード比0.96、つまり摂取量が最も多いカテゴリと
最も少ないカテゴリを比較した場合のリスクはほぼ同等)。
これは人工甘味料を使用した飲み物が糖分を含まず、
カロリーも低いため、糖尿病の管理に一役買っています。
したがって、甘い飲み物が好きで、
でも健康に気をつけている方々は、
人工甘味料を使用した飲み物を選ぶことを検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、全体的な飲み物の選択としては、
コーヒー、紅茶、無糖水、低脂肪乳の摂取を増やすことをおすすめします。
2つ目の福岡からの論文 BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Oct;8(1):e001252.
福岡糖尿病レジストリという研究グループが報告しています。
総数4923人(男性2790人、女性2133人)の
平均年齢66歳の2型糖尿病患者さんを
5.3年間追跡調査した結果です。
この調査期間中に309人が亡くなりました。
驚くべきことに、この調査から、緑茶とコーヒーの摂取量が
全死因死亡率に影響を与えることがわかりました。
具体的には、緑茶を1日に4杯以上飲むと、
全死因死亡率が40%低下することが示されました。
また、コーヒーを1日に2杯以上飲むと、
全死因死亡率が41%低下しました。
更に興味深いことに、
緑茶とコーヒーを組み合わせて飲むことで、
その効果が相乗することが示されました。
例えば、緑茶を1日に4杯以上、
そしてコーヒーを1日に2杯以上飲むと、
全死因死亡率が63%も低下することが示されました。
これらの結果から、糖尿病患者の方々に対して、
毎日の飲み物として緑茶とコーヒーの摂取を推奨します。
とりわけ、緑茶を1日に4杯以上、コーヒーを1日に2杯以上
摂取することをおすすめします。
これらの飲み物は、全死因死亡率を下げる可能性があります。
ただし、これらの飲み物の摂取が糖尿病の治療や
予防に直接的な効果を持つわけではないことを理解してください。
これらはあくまで全体的な健康状態を向上させる
一助となる可能性があることを示すものです。
常に適切な医療機関から、アドバイスをうけながら、
健康的な生活習慣を続けることが最も重要です。
それでは、血糖値を下げるヘモグロビンA1cを下げる
最強の飲み物ランキングに移りたいと思います。
7位から順に、1位まで続けて発表したいと思います。
第7位 人工甘味料を使用した飲み物(ASBs)です。
研究では糖尿病患者の全死因死亡リスクに
大きな影響はないとされています。
甘い飲み物を好む人々にとっては
糖分の取り過ぎを防ぐ選択肢となる可能性があります。
第6位は低脂肪乳
定期的に飲むことで、糖尿病患者の全死因死亡リスクが
12%低下します。
第5位は紅茶
定期的に飲むことで、糖尿病患者の全死因死亡リスクが
21%低下します。
第4位は無糖水です。
定期的に飲むことで、糖尿病患者の全死因死亡リスクが
23%低下します。
水を飲むことで血糖値が下がるんですよね。
第3位はコーヒーです。
一日に2杯以上飲むことで、
2型糖尿病患者さんの全死因死亡リスクが41%低下します。
また、別の報告では、2型糖尿病の予防に関して、
コーヒーが有効という報告があります。
Nutr Rev 2018 Jun 1;76(6):395
コーヒーの大量摂取(5杯/日)は、
成人の2型糖尿病リスクを低下させる可能性があります。
第2位は緑茶です。
一日に4杯以上飲むことで、
2型糖尿病患者さんの全死因死亡リスクが
40%低下します。
第1位は緑茶とコーヒーの組み合わせです。
一日に4杯以上の緑茶と2杯以上のコーヒーを飲むことで、
全死因死亡リスクが最大63%低下する可能性があります。
以上血糖値を下げるヘモグロビンA1cを下げる
最強の飲み物ランキングの結果をふまえますと
普段は緑茶とコーヒーをのむ。
コーヒーはブラックコーヒーでもいいし、
低脂肪乳を追加するのもいいですよね。
水ももちろん適宜のむ。
甘い飲み物が欲しいときには、
なるべく人工甘味料を使用した飲み物をのむことをおすすめしたいと思います。
低カロリーあるいは低栄養素人工甘味飲料について
否定的な意見があることも承知しています。
アメリカ糖尿病協会(ADA)は、
糖尿病患者が定期的に砂糖入り飲料を飲んでいる場合、
カロリーが少ないまたは甘みがあるが栄養価がない飲料を、
水の代わりに飲むことを認めています
(ADAの評価B:弱い推奨)。
ただし、水の摂取が最も重要なので、これを忘れないようにしましょう。
栄養価がない甘味料は、他の食べ物からカロリーを増やさずに、
カロリーが高い甘味料との置き換えに使うことで、
全体のカロリーや炭水化物の摂取量を減らすことができます
(ADAの評価B:弱い推奨)。
スクラロース、ステビア、アスパルテームなどの
栄養価のない甘味料を、一日の推奨摂取量以内で摂取すれば、
血糖管理に大きな影響を与えることはありません。
ノンアルコール酎ハイ
※※※ゼロだという名前で
売られているのはご存知と思います。
また低糖質人工甘味飲料を調べる中で、
ノンアルコールの酎ハイは糖質ゼロのものが多く
糖尿病の方に勧めていいのではないかと思い、
お客様センターに相談してみました。
ノンアルコール酎ハイはカロリー・糖類ともにゼロですので、
糖尿病への影響は少ないと考えられます。
栄養成分表示基準により、100mlあたり
カロリー5kcal未満のものには「カロリーゼロ」、
同じく100mlあたり糖類0.5g未満のものには
「糖類ゼロ」と表示しています。
との返事でした。
しかしながら、お客様の体調の具合や
食べ合わせなどによって
影響の度合いが異なりますので、最終的なご判断は
お医者さまとご相談いただくようお願いしています。
とのことでした。
また、ノンアルコールの酎ハイを飲むことで問題となる飲酒行動に
つながるのであれば、摂取は勧めらられないとも思います。
ノンアルコール酎ハイは、アルコール依存症の方や未成年の方には
ノンアルコール酎ハイはすすめられません。
ただ、砂糖入り炭酸ジュースが好きな方の置き換え法で
どうしても甘いものをたまには飲みたいときにはいいようにも考えています。
以上、過去の研究報告を参照に作成しましたが、
効果には個人差がありますので、すべての方に効果を
保証できるものではないことをご了承いただきたく存じます。
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