「足がむくんできた。」

「息ぎれがする。」

「最近つかれやすいなあ。」

「なんともありません。」

「貧血があります」

どれも糖尿病腎症でおこりうる症状です。

 

■検査

尿検査で、尿蛋白を調べたり、◇尿アルブミンを調べたりします。

血液検査では◇糸球体ろ過量(しきゅうたいろかりょう)を測定します。

 

◇アルブミンとは小さなタンパク質で、血中には多量にありますが、通常、尿中には認めません。

軽度の腎症でも、尿中に認めるようになります。

◇糸球体ろ過量とはeGFRともよばれ、腎臓の働きをあらわす数値です。

■病期分類

第1期:腎症前期(正常の状態)尿アルブミンが30未満です。

第2期:早期腎症期 尿アルブミン30~299mg/g・Crです。

心血管病の危険が増大しますので、この時期から注意が必要です。

第3期:顕性腎症期(けんせいじんしょうき)尿アルブミン300mg/g・Cr以上です。

第4期:腎不全期 糸球体ろ過量(eGFR)が30ml/分未満です。

第5期:透析療法期(とうせきりょうほうき)

■悪化の原因

血糖コントロールが不良の場合、高血圧の場合などが考えられます。

 

■治療

血糖や血圧のコントロールをしっかりコントロールします。

早期からの減塩が必要です。

第5期の透析期になると、人工的に血液をろ過する透析や腎臓移植も候補に挙がってきます。

■ワンポイントアドバイス

腎症の1期から3期、場合によっては4期でも無症状のことがあります。

定期的に尿検査を行い、病期を把握する必要があります。

病期が進むにつれて、高血圧、こつそそしょうしょう、腎性ひんけつなど、コントロールが難しくなってきます。

かつては、いったん腎症の病期が進むと、改善しないと考えられていました。

現在は、しっかりと血糖コントロールや血圧コントロールができれば、改善すると報告されており、あきらめずに油断せずに治療に向き合うことが大切だと思われます。