妊娠に関連して、糖が注目される場合があります。
妊娠中の糖代謝異常には大きく分けて、3つあります。
1)糖尿病合併妊娠 妊娠以前から糖尿病と診断されたものです。
2)妊娠中の明らかな糖尿病(空腹時≧126、2時間値≧200、HbA1c≧6.5の基準を満たした場合です。)
3)妊娠糖尿病(GDM)
にわけられます。
■妊娠糖尿病とは
妊娠中に初めて発見、または発症した糖尿病にいたっていない、糖代謝異常と定義されます。
糖尿病にいたっていないのに、妊娠“糖尿病”とするという定義には違和感がありますが。。
血糖値の検査は、妊娠初期(初診時)およびインスリン抵抗性の高まる妊娠中期(妊娠24~28週)に行います。
血糖値が100mg以上の妊婦さんには、75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を行います。
■妊娠糖尿病の診断基準
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断します。
空腹時血糖値 ≧92 mg/dl、
1時間値 ≧180 mg/dl、
2時間値 ≧153 mg/dl
です。
■妊娠中の血糖の目標
空腹時血糖値 70~100mg/dl 以下
HbA1c 4.6~6.2%
海外の食後1時間140
食後2時間血糖値:120mg/dl以下
グリコアルブミン11.0~15.7%
■治療について
食事療法と運動療法とインスリン
妊娠時に必要なカロリーや栄養を十分に取ることは必要です。
しかし、糖分や脂肪分の多い食事は控え、体重が増えすぎないように気をつけましょう。
妊娠中は原則としては、飲み薬の糖尿病薬は使用しません。
適正な運動療法や運動療法を行っても血糖値が高い場合は、インスリン治療をはじめます。
■血糖を測るタイミング
血糖値を正常に保つためには、日常生活での血糖値の変動を知ることが重要です。お母さんと赤ちゃんの健康状態を安定させるためにも、規則正しく血糖値をチェックしましょう。
妊娠の時期が進むにつれて、より血糖値があがりやすくなります。
インスリン量を調節するためにも血糖値の自己測定は欠かせません。
■分娩
経腟分娩が基本です。帝王切開は産科的に必要な時や、活動性の糖尿病増殖性糖尿病網膜症があるときです。
■分娩後、授乳期の治療
胎盤が体の外にでてからは、インスリン抵抗性が急激に改善しますので、インスリン需要量は急激に減少します。
いったん正常化する場合もありますが、糖尿病にならないか、確認のため、3か月程度経過後に糖の具合をチェックすることをお勧めしています。
■ワンポイントアドバイス
糖尿病の方が妊娠を希望されたときには、計画的に行う必要があります。
妊娠初期の器官形成期における児への高血糖の影響を防ぐためには、妊娠前から血糖コントロールを良い状態にしておく必要があります。
妊娠の許可条件とは、HbA1c 7%未満、網膜症なし、良性網膜症(福田分類)に安定、腎症2期(微量アルブミン尿まで)があげられます。
妊娠時は経口血糖降下薬を用いている場合は、妊娠前にインスリン治療に変更します。