血糖値が気になる皆さん、「ベジファースト」は実践されていますか?
「ベジファースト」とは野菜料理を最初に食べることですが、「ベジファースト」がすすめられている理由をご存知ですか?
それには「食物繊維」が関係しています。今回は、食物繊維についてお話します。
食物繊維とは?
炭水化物のうち、エネルギー源として利用されるのが糖質、ほとんど利用されないのが食物繊維です。
食物繊維は人の消化酵素では消化されないためエネルギー源とならず、血糖値も上げません。
食物繊維はエネルギー源にはなりませんが、健康のためには重要な役割を果たしており、重要な栄養素です。
食物繊維:人の消化酵素では消化されないためエネルギー源とならないが、健康のためには重要な役割を果たしている。
食物繊維の種類
食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
食物繊維には水溶性と不溶性があり、特徴と働きがそれぞれ異なります。
食物繊維の種類は2種類!
水溶性食物繊維:水に溶ける
不溶性食物繊維:水に溶けない
水溶性食物繊維の特徴
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になる性質があります。
ねばねば、つるつる、とろとろとした食感のものに含まれます。
昆布やワカメなどに含まれる成分のアルギン酸、果物や野菜に含まれるペクチンなどがあります。
果物は食物繊維だけでなく糖質も多いため、食べ過ぎには注意しましょう!
〇食後の急激な血糖上昇を抑える!
水溶性食物繊維は腸の中で糖質を包みながら移動するため、糖質の吸収スピードが緩やかになります。
ベジファーストがすすめられている理由は、野菜に含まれる「水溶性食物繊維」を先に食べることで、血糖値がゆっくり上がり食後血糖値の上昇を抑えるためです。
野菜を最初に食べるベジファーストが勧められている理由は、野菜に含まれる「水溶性食物繊維」を先に食べることで、血糖値がゆっくり上がり食後血糖値の上昇を抑える作用があるから。
〇コレステロール値を低下させる!
水溶性食物繊維は腸内にある余分なコレステロールを吸着し、便と一緒に排出することで血中コレステロール値を低下させます。
不溶性食物繊維の特徴
不溶性食物繊維は水に溶けませんが、腸内の水分を吸収してふくらむ性質があります。
野菜や穀物などに含まれるセルロースやヘミセルロース、リグニンがあります。エビやカニの殻に含まれるキチンも不溶性食物繊維に分類されます。
〇便秘への効果
不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸収して膨らみ、便の量を増やしたり腸を刺激して排便をスムーズにする作用があります。
〇食べ過ぎを防止する
食物繊維の多い食品は低カロリーで噛み応えがあるものが多いため、食べた時の満足感が高くなります。そのため食物繊維の多い食事をとることで肥満を防ぐことができます。
※食物繊維だけでなく、糖質も多い食品の食べ過ぎには注意しましょう。
〇腸内環境の改善
その他の効果として・・・
食物繊維(水溶性食物繊維、不溶性食物繊維のどちらも)には大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉菌のエサになるため、善玉菌が増えて、腸内環境が改善されます。
1日の摂取基準量
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標量として男性18~64歳は1日21g以上、65歳以上は20g以上、女性18~64歳は1日に18g以上、65歳以上は17g以上と設定されています。
令和元年国民健康・栄養調査では、食物繊維摂取量(総量)は18.8g(20歳以上男女平均値)であり、不足している方もいる成分ですので積極的にとるようにしましょう。
通常の食事では食物繊維を摂り過ぎることはありませんが、サプリメントなどで大量に摂り過ぎるとミネラルの吸収を妨ぐこともありますので注意しましょう。
男性21g以上 女性18g以上(ともに18~64歳の場合)
食物繊維の 食事摂取基準(g/日) | 男性 | 女性 |
年齢等 | 目標量※ | 目標量 |
0~5(月) | - | - |
6~11(月) | - | - |
1~2(歳) | - | - |
3~5(歳) | 8以上 | 8以上 |
6~7(歳) | 10以上 | 10以上 |
8~9(歳) | 11以上 | 11以上 |
10~11(歳) | 13以上 | 13以上 |
12~14(歳) | 17以上 | 17以上 |
15~17(歳) | 19以上 | 18以上 |
18~29(歳) | 21以上 | 18以上 |
30~49(歳) | 21以上 | 18以上 |
50~64(歳) | 21以上 | 18以上 |
65~74(歳) | 20以上 | 17以上 |
75以上(歳) | 20以上 | 17以上 |
妊婦 | - | 18以上 |
授乳婦 | - | 18以上 |
日本人の食事摂取基準(2020年版)
食物繊維を多く含む食品
食物繊維は穀類や芋類、野菜、大豆などの豆製品、海藻、キノコ類、果物などに多く含まれます。
食物繊維の中でも、血糖値にいい効果があるのは「水溶性食物繊維」になりますが、水溶性食物繊維だけをとることは難しいため、血糖値が気になる方は水溶性食物繊維が多い食品を意識して食べるようにするといいですね。
下の表を参考にしてください↓
食物繊維を 多く含む食品 | 分量(g) | 水溶性 食物繊維 | 不溶性 食物繊維 | 食物繊維量※ (g)合計 | 備考 |
白ごはん | 150 | 0 | 0.5 | 0.5 | 軽く1膳 |
麦ごはん | 150 | 0.7 | 0.9 | 1.6 | 押し麦を3割 混ぜた場合 |
発芽玄米 ごはん | 150 | 0.3 | 2.4 | 2.7 | |
食パン | 60 | 0.2 | 1.1 | 1.3 | 6枚切り1枚 |
全粒粉食パン | 60 | 0.5 | 2.2 | 2.7 | |
ほうれん草 | 70 | 0.4 | 2.1 | 2.5 | お浸し1皿 (生100g) |
なす(生) | 100 | 0.3 | 1.9 | 2.2 | 中1本 |
ブロッコリー (ゆで) | 30 | 0.3 | 1 | 1.3 | 小房3個 |
おくら (ゆで) | 40 | 0.6 | 1.5 | 2.1 | 4本 |
きゃべつ (生) | 100 | 0.4 | 1.4 | 1.8 | 1/16玉 |
ごぼう (ゆで) | 50 | 1.4 | 1.7 | 3.1 | 小鉢1皿 |
切り干し大根 (油炒め) | 40 | 0.6 | 1.6 | 2.2 | 小鉢1皿 |
納豆 | 40 | 0.9 | 1.8 | 2.7 | 1パック |
ひじき (炒め煮) | 50 | - | - | 2.3 | 小鉢1皿 |
カットわかめ | 1 | - | - | 0.4 | 味噌汁1杯 |
ぶなしめじ (ゆで) | 30 | 0 | 1.2 | 1.2 | |
えのき (ゆで) | 30 | 0.1 | 1.3 | 1.4 | |
しいたけ (ゆで) | 30 | 0.1 | 1.2 | 1.3 | |
こんにゃく | 50 | 0 | 1.1 | 1.1 | |
かぼちゃ (ゆで) | 100 | 0.9 | 3.2 | 4.1 | 煮物1皿 |
じゃがいも | 100 | 0.5 | 1.1 | 1.6 | 1個 |
さつまいも | 100 | 0.6 | 1.7 | 2.3 | 中1/2本 |
バナナ | 120 | 0.1 | 1 | 1.3 | 中1本 |
キウィ | 70 | 0.6 | 1.2 | 1.8 | 1個 |
りんご | 130 | 0.4 | 1.4 | 1.8 | 1/2個 |
水溶性食物繊維は食後の高血糖を抑えますが、1食でまとめてとるのではなく、毎食食べることで効果を発揮します。そのため、食物繊維は毎食食べるようにしましょう!
朝に食べた食物繊維は昼食には残っていませんので、毎食食べ
ましょう!
参照
・e-healthnet.mhlw.go.jp:e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
・htts://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
・htts://www.mhlw.go.jp:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要