澤木内科・糖尿病クリニックでは、2023年2月よりフットケア外来を開始しています。
今回のブログでは当院でのフットケアの流れなどをご紹介します。
フットケアの目的
当院ではフットケアの目的を
- 足病変のリスクが高い患者を選別し、足病変の早期発見に努めるとともに予防的指導・ケアを行う
- 患者自身が足病変のリスクを理解できる
- 患者自身が足病変の予防・早期発見のためにセルフケアを獲得する
としています。
糖尿病を持つ人が糖尿病を持たない人と変わらず歩いて生活できるように、という思いでフットケアを始めました。
フットケアの内容
①神経障害の検査
まず神経障害の評価に関する検査である、アキレス腱反射、音叉を用いた振動覚のテスト、モノフィラメントを用いたタッチテストを行います。
②足のアセスメント
皮膚や爪の状態について、爪白癬や鶏眼はあるか?など、観察チェック表に沿ってアセスメントしていきます。
③足浴、爪切り、かかとケア
必要に応じて足浴、爪切り、かかとケアを行います。足浴では、入浴剤を入れた足湯用バケツで温まっていただきながら、足を清潔にすることの必要性などをお話しています。
④セルフケアについての説明
足のマッサージ方法や靴・靴下の選び方など、患者さん自身が自宅に帰ってからも続けていただきたいケア方法について説明を行います。
⑤まとめ
ケア終了後には、パンフレットを使用しながら、足のセルフケアのおさらいと、糖尿病の合併症予防についてや血糖コントロールの重要性を伝えています。本日の血糖値とHbA1cを患者さんと一緒に確認し、毎日の足の観察やケアと共に、良好な血糖コントロールを維持することが合併症予防にとって重要であることをお伝えしています。その際に、糖尿病治療において、何か気になっていることはないか、お困りのことはないかを確認し、診療へつなげられるよう心掛けています。
実際にフットケア外来を始めてみて
足元について気になることももちろん様々ありましたが、足以外にも、患者さんは糖尿病治療において様々な悩みや気になることがあることに気付きました。例えば食事を我慢して極力制限している、血糖自己測定を失敗することがあるので測定が苦痛、身内の世話で生活スタイルが変わって血糖値が悪くなったように思う、などなどです。
普段の診療の中でも、採血や検査の際に「お変わりありませんか」と患者さんにお声かけしていますが、混雑しているとどうしても慌ただしく、患者さんからのちょっとした悩みを聞ける機会は少なく感じます。
しかしフットケアという時間を確保することで、マンツーマンでじっくりお話をする機会が得られ、患者さんからの、「実はね・・・」といったお声が聞こえてくることが多くあり、そこから診療に繋げていくこともありました。
足のケア自体はまだまだ勉強中ですが、こうした“患者さんとマンツーマンで話す”関わりを増やすことができ、フットケア外来を始めて良かったなと感じています。
また、本来の糖尿病治療の目的について改めて考える機会にもなり、フットケア以外でも、患者さんとの関わりを増やしていければと思います。